世界中から集まったメディア関係者の注目が集まる中、栄誉あるGalaの舞台で作品を発表できたこの貴重な体験と、発表者から見たフェスティバルの動向について、ここに報告する。 |
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SinkTopの受賞を伝える[the next idea]のサイト。 |
Ars Electronica Festivalまで残りおよそ1ヶ月。SinkTop受賞の知らせが公式サイトに掲載されてから2ヶ月が経過したが、展示などについての連絡が一切こない。
このような内容の文章に、展示計画書(設置に必要な面積、環境、インターネットを介したインタラクティブ展示のプランなど)を添付した。 果たしてどんな返事が来るか、あるいは来ないのか。すがるような思いだった。 |
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2日後、担当者から返ってきたメールは、目を疑うような内容であった。 なんとGalaで、SinkTopにライブパフォーマンスを行ってほしいというのだ。Galaとは、Ars Electronica Festivalの事実上のオープニングイベントであり、Prix
Ars Electronicaの表彰式でもある式のことだ。 これはまさに昨年度のArs Electronicaで、明和電機が務めた重要な役である。 我々のような学生にそんな大事な役を依頼するなんてにわかには信じがたい。しかも準備期間は1ヶ月しかない。 突然の依頼に戸惑いながらも、やるしかないと決意を固めた我々は、申し出をありがたく受けるという旨を先方に伝え、パフォーマンスの案を練ることにした。 |
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オリジナルのSinkTopは普通の流し台サイズだ。 |
オリジナル版のSinkTopは普通の家庭にある流し台そのままの大きさだ。今から船便でオーストリアまで送ったのでは間に合わないし、なにしろ費用がかかりすぎる。 コンセプトは「世界最小、最軽量のGUI搭載キッチンシンク」である。 また、せっかくのライブパフォーマンスである。SinkTopに備わっているネットワーク機能により、不特定多数のオーディエンスが水道や、SinkTopに接続されたジュースミキサーなど多数の電化製品をリアルタイムにコントロールしてしまう状況が実現できる。 担当者からの、ドイツ語っぽいスペルミス混じりの英文メールによれば、GalaはORF(日本でいうところのNHKにあたる放送局)によってヨーロッパ全土にテレビ放送されるということだ。 このようなアイデアを絵コンテにまとめて、担当者にメールで送った。 |
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重要な式典だけあって、向こうからの提案や要望、技術的な理由による制約は多かった。
などなど。 |
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ただでさえ時間がないというのに、いちいち向こうに確認を取りながらではないと動けないため、システムの開発はなかなか進めることができなかった。 また、技術的な不安な面もあった。日本と違い、オーストリア国内のコンセントの電圧は220V。このような高圧電流を制御した経験など、当然ない。220Vに耐える電子部品を探すにも一苦労である。 水道と25台のジュースミキサーと数台の家電製品をコントロールするためのユニットにはおびただしい数の電子部品、コネクタをはんだ付けしなければならない。すべて手作業だ。 ネットワーク周辺のプログラミングはオーストリア国内の携帯電話事情や、Brucknerhausにおけるネットワーク構成、そしてステージ上の巨大スクリーンへのビジュアライゼーションを考慮に入れた上で構築しなければならなかった。 我々は寝食を忘れ、出国の直前まで作業に没頭した。 |
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